私は結婚式のときにどうしても使用したい曲がありました。
それは東儀秀樹の曲です。雅楽奏者、東儀秀樹の存在を知ったのは、結婚式の1年前のことでした。チャペル挙式なのに雅楽が違和感がないか、と心配はありましたが、実際この曲をチャペルで流したところ、チャペルの雰囲気にも合っていて、この曲を選んで大成功でした。

3月に入籍し、8月には挙式を挙げる予定だったのですが、入籍後体調に異変が出始め、全身が痛くだんだん動けなくなってしまいました。
私はある病気を発症してしまいました。
病気はかなり進行していて、入院が必要でした。一生治らないと医師に告げられ、幸せな結婚生活を夢見ていた矢先の出来事に、絶望し、不安でいっぱいでした。
そんなとき、入院中に、友人がお見舞いでこの曲を持ってきてくれました。それが東儀秀樹との出会いでした。

篳篥の優しい音色、神様が見守ってくれるような音楽に私は心を奪われ、なんだか温かな気持ちが芽生え、張り詰めていた気持ちが少し楽になったのです。

なんとか退院することができ、徐々に日常生活が送れるようになるまで回復していきました。これからは病気と上手に付き合っていく人生。でも私と一緒に生きていくことを選んでくれた、夫のためにも、頑張らなければと前向きな気持ちも芽生えてきました。
退院したのは結婚式を挙げる予定だった夏でした。式は、翌年3月に延期し、ゆっくり準備をすることにしました。

夫は音楽大学出身で、雅楽の演奏もしていたので、この曲は二人とも大好きになりました。二人の意見は一致しました。
本当は、神社で挙式したかったのもあり、主人も雅楽は以前から興味はあったのです。

入場は昔からワグナーの「結婚行進曲」これは小さいころからこの曲にしたい、と決めていたのですぐに決定しました。 そして誓いの言葉、指輪交換、ベールダウンなどの大事なシーンに東儀秀樹の曲を使用しました。 「夜明け」「酒胡子幻想」「絹の道」これらの曲を、上手に編集して流してもらいました。

そして、退場の時は少し明るく「うきぐも」でリズムよく退場。
最初は荘厳な雰囲気で、最後は軽やかに、という流れがとてもよかったと思います。

披露宴は、主人の希望でバイオリンの名曲集でゆったりしたクラシック音楽をずっと流し続けていました。
アットホームな温かい式でした。 ゲストのお見送りでも東儀秀樹の曲を再び使用しました。

思い出の曲を流せて、その曲とともに結婚の誓いが出来たことにとても満足しています。
今もこの曲を聴くたびに、入院中病気と闘っていた日々、結婚式のときの真っ白なチャペル、退場で拍手をたくさんしてくれたシーンなどが目の前に浮かんできます。