私が結婚式において最もこだわった音楽は，入場シーンでの音楽でした。
安室奈美恵の「Can You Cerebrate」を選曲しました。その理由は，私が幼い時に見ていたドラマの影響から，この音楽が大好きになったからです。

私は，もともと幼い時から周囲にあまり同い年の友達がいなかったため，大人と接することが多く，また，大人と話をすることが好きでした。そんなこともあり，恋愛においても当時とても興味がありました。それというのも，大人と接する機会が多いことも含め，あるドラマが影響していました。それが，「バージンロード」というドラマでした。このドラマは，主役の二人がいろんな困難を乗り越えてやっとの思いで結ばれるという内容で，最後にバージンロードを歩くというもので，そのシーンが幼心にとっても残っていて，大人になった今でもとても印象深く懐かしい思いがこみ上げてきます。

私は，このころから，結婚に対してとても憧れており，いつか自分が結婚するときは，この音楽をかけて入場したいと切に思っていました。それが私の思い描く結婚式でした。

実際の結婚式で使用した曲は，その当時のものではなく，アレンジされたものでした。バイオリンの音に合わせたものでしたが，とても心地よく爽やかで，それでいながら切なさもこみ上げてくるような仕上がりになっていたため，あえて，このアレンジされた方の音楽を選びました。

入場のシーンで，父親と並んで立って，母親にベールダウンをしてもらいましたが，この曲が流れた瞬間から，その幼い時の記憶が蘇ってきて涙が出ました。両親も目頭を真っ赤にしていましたが，なんとか涙をこらえているようでした。私が挙げた結婚式は，レストランでの小さな式だったので，その後，皆さんのテーブルのそばを通りながら一人一人の顔を見て，高砂まで行きました。

私のことを幼い時から知っている親戚や友人たちは，その音楽に乗せて私と主人が歩く様子を見て，とても感動してくれていた様子でした。入場のときから，私の姿を見た瞬間から涙を流している人もいました。それというのも，この曲で私が一番気に入っているのは，始まりのイントロ部分です。この懐かしくも切なくもなるメロディーが観客や本人自身の感動や涙を誘いだすのだと思います。今流行っている音楽を使用するより，昔から多くの人に親しまれている音楽を流すことのメリットは，こんなところにもあると思います。

この曲を使用することで私は，最初から結婚式での感動を十分に味わうことができました。よくバタバタしてて実感がないまま結婚式が終わってしまったという友人の話を聞いたりしました。しかし，この音楽は，始まりの段階から大いに涙や感動を引き出してくれるものだと思います。