母が山口百恵の曲が好きで、私も幼い頃から車の中などでよく聴いていました。その為いつか自分が結婚式を挙げる時には式のどこかで山口百恵の曲を使いたいという思いがありました。
どの曲にするかはなかなか決まらず、主人やウエディングプランナーの方と何度も相談してようやく決まった曲が「秋桜」です。

母が大好きだった曲なので、母への感謝の気持ちを伝える時にピッタリな曲だと思って選びました。
一番印象に残っているのは、私がまだ学生の頃車内で流れていた秋桜を聴いて「結婚式でこんなの流されたら色々思い出して泣いちゃう」と母が言っていた事です。その時は冗談も含め「じゃあこの曲を使おうかな」と私は話していたのですが、母との思い出を振り返りそれを実現させたいと思いました。
秋桜は山口百恵の楽曲の中でも有名で、世代を超えて愛されている曲だと私は思っています。そんな名曲ですから、式に来てくれたゲストの方みんなが知っている楽曲が良いと考えた時にも、秋桜はピッタリだと考えました。

この曲を使用したのは結婚式の後半にある花嫁の手紙朗読シーンです。手紙朗読のシーンは結婚式の中でも感動的なシーンだと思いますが、ただ読むだけではなくより心の中に強く残るシーンにしたいと思っていました。
昔程ではないにしてもまだまだ結婚式で使われる事の多い秋桜を使うのは少しベタかなとも考えましたが、ベタな楽曲の方がストレートに思いが伝わって心に響くのではないかとも思いました。その為、あえて有名な楽曲を最大の山場シーンで使用する事に決めたのです。

母へ感謝の気持ちを伝え、より感動的なものにしたいと思って選んだ楽曲でしたが、朗読が始まってこの曲が流れ出すと誰よりも涙を流していたのは私でした。
朗読シーンでは映像を流したりといった演出は一切せずにシンプルに手紙を朗読していただけだったのですが、秋桜のメロディーと歌詞が進むにつれて頭の中に母との思い出が鮮明に映し出されて号泣してしまったのです。
私が泣き出すとつられたように母が泣き出し、そのうちに会場のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきて会場全体が涙で包まれたような雰囲気になっていました。号泣してしまったおかげで手紙は上手く読む事ができませんでしたが、秋桜の歌詞が私の思いを代弁してくれているようで気持ちは十分伝わったかなと思っています。
式に来てくれたゲストの方達からは「すごく良かった！」「自分の結婚式を思い出した」などとたくさんのあたたかい言葉をかけてもらえて、本当に嬉しく思いました。友人は未だに秋桜を聞くと泣きそうになると言ってくれているので、心に残るシーンにする事ができたと私達夫婦も満足しています。

秋桜は嫁ぐ前日の親子の時間を歌っている曲で、私はこの曲を手紙を書いている時から流して聴いていました。本当に歌詞が素晴らしく、この曲を聴きながら手紙を書いていると今まで言えなかった気持ちがどんどん出てきて素直な気持ちを手紙にする事ができました。
朗読シーンは親への感謝を伝える事ができる大切な時間なので、演出にこだわらずただ素直に気持ちを伝えたいと思っている方にはオススメの曲だと思います。号泣してしまう可能性も高い曲ですから冷静に気持ちを伝える事は難しいかもしれませんが、感動的なシーンにしたい方にはとても良い楽曲です。